バルサミコ・ヴィネガー4

2009年06月20日

日本人の皆様が一般的にバルサミコとして購入している物は200cc1500円や、500cc3000円のものが多い。これはバルサミコ協会とは無縁の物で多くは工場生産される熟成期間数年の物が多く出回っています。

勿論なかには8年物や15年物もあり、他の酢に比べればかなり高価で味も優れています。

この種のバルサミコは成分に規定はなく、ハーブやカラメルでの着色も許されています。しかし基本はやはりブドウから作られています。

トラディッチョナーレ用のブドウ選択から外れてしまった2及品、また不作の年などはかなりの量で使用不能なブドウが発生してしまうので、トラディッチョナーレの称号はもらえないが、しっかりとした製法で2級品を作る必要があるのです。

また残念ながら協会の審査にパスしなかった品物は、わずかに味は劣る物の、かなり優れた品と言えるでしょう。

モデナのもう一つの産物に"ヴィンコット・サバ"があります。

このサバもバルサミコ酢の原料と同じブドウだけから作られますが、バルサミコが樽でゆっくり熟成と自然乾燥をさせるのに対し、火でゆっくりと煮詰めたものを直ちに瓶詰めしたものです。熟成させないので酢とは呼ばずサバとなります。特徴はきめ細かな甘みと香りで、料理用の素材やデザート、フルーツの砂糖の代用として使うと上品で上質のデザートが出来ます。

モデナでは家庭で気軽に使用しています。

また近年、高価なバルサミコの使用に限度があるため、レストランでも軽い味のサバが見直され、様々な料理開発の素材の一つとして、多用されています。

バルサミコ・ヴィネガー 3

2009年06月12日

バルサミコには3種類があることは1の章で述べたが、

1.アチェット・バルサミコ

 何の規定もないバルサミコ

2.アチェット・バルサミコ・トラディッチョナーレ

 12年以上熟成されたバルサミコ

3.アチェット・バルサミコ・エキストラヴェッキオ

 25年以上熟されたヴィンテージバルサミコ

つまり、100年以上丹念に作り上げたバルサミコでも協会の審査に通らなければ、ただのバルサミコとして数千円で取引される。従って、"トラディッチョナーレ""エキストラヴェッキオ"の持つ意味がいかに大きいか思い知らされるのである。

100ccのトラグンに入った、あえて言えば本物のバルサミコは最低でも2万円はする代物である。金賞品はすぐにプレミアムがつき、手に入れるのは至難の業となる。

さて話を製造に戻そう。

このようにオーナーは、経験と自らの舌を信じて各年に収穫したブドウの出来から経過を丹念にチェックし12年から何年熟成させるかの期間を決めてゆきます。

5リットルの樽から3リットル出荷すれば、

次の大きさの樽から最小の樽に3リットル移され、

4の樽に3の樽から3リットル、

3の樽に2の樽から3リットル、

2の樽に1の樽(1の樽が50リットルと一番大きい)から3リットル移される。

原液1年のモストコットはこうして1番目の樽に補充されるのである。

こんなに手間をかけて、バルサミコはゆっくりと熟成を重ねる。

こんなバルサミコにフランス人シェフが目を着けたものだからたまらない。

今では世界中のイタリア料理のみならず、フランス料理、日本料理に至るまで需要が広がり、その急増に供給が間に合わず毎年価格は右肩上がりとなっています。

モデナの住民はそんなわけで皆裕福なのであります。

つまるところますます急ぐ必要がないという訳でのんびりと、いやいや、真剣にバルサミコ生産に打ち込んでいます。

バルサミコ・ヴィネガー 2

2009年06月07日

バルサミコの製造は厳しく法によって定められており、

使用するブドウの品種

バッテリアスと呼ばれる木樽の熟成方法

瓶詰めの方法までが、バルサミコ協会により厳しく管理されています。

ブドウ品種は特に"Trebbiano di Spagna"が中心で甘味とコクを出すと言われています。木樽の種類はオーク、クリ、トネリコ、クワ、ジュニパー(ビヤクシン)、ニセアカシア、サクラと、限られ各生産者はどの木樽にどの程度熟成させるか技量の見せ所となります。

ブドウを搾った果汁は布でこされて銅の大なべに移され、最初の量の5070%まで90度で16時間ほどゆっくりと煮詰める。煮詰められた果汁はモストコットと呼ばれるバルサミコ酢の大元である。これを1年ほど寝かせアルコール発酵させます。

ここまではどの生産者の同じ行程作業が行われてゆきます。

その後各生産者による方法でバルサミコは熟成されてゆく。

まず先に述べた7種類の木から5つの樽が製造されるが、大きさは最小で5リットル、最大は50リットル。

どの木をどの大きさの樽にするか、正に家宝伝来の秘密と言うわけだ。

格樽には10センチの穴が開いており、ガーゼだけで塞がれ、熟成と蒸発を促す。

モデナ地方の気候は夏暑く冬は寒い夏と冬の温度差が40度以上は必要とされ、各家の南西の最上階が熟成のカーブとされる。

初期のモストコットは当然一番大きな50リットルの樽に移し変えられますが、ことはそう単純ではありません。

まず最終の樽、つまり5リットルの樽が基点となります。

この5リットルの樽には少なくとも12年以上熟成されたバルサミコが眠るが、15年、20年、30年、50年いや100年以上の物もあります。

そこで生産者は何年熟成したバルサミコを出荷するかを決定し、

樽から今年度の出荷分だけのバルサミコを取り出す。

かといってすぐに出荷できるわけではない。バルサミコ協会の審査を受けなければならない。審査に品質が合格すれば、協会が指定した瓶の入れ物"トラグン"に入れて出荷が許され、同時にDOPが認定される。

バルサミコの査定は市の組合が選ぶ試飲者5人により審査される。

その基準はブドウの品種と配合、樽の種類と移し変えの回数や熟成年月、味、色合い、濃度、甘さ、酸味等のバランスと協調性を何十項目以上を審査し、点数により金、銀、赤のラベルを獲得する。

こうしてラベルを貼られたトラグン入りバルサミコは番号順に協会名簿に登録され、歴史に名を刻んでいるのです。

では、秘蔵の100年物のバルサミコが協会の審査にパスしなかったら、100年の苦労はどうなってしまうのだろうか?

バルサミコ・ヴィネガー 1

2009年06月04日

Aceto blsamico  

アチェト バルサミコ

Aceto balsamico tradizionale

アチェト バルサミコ トラディッチョナーレ

Aceto balsamico tradizionale extra vecchio

アチェト バルサミコ トラディッチョナーレ エキストラ ヴェッキオ

この3種類が、バルサミコヴィネガーとして市場に出回っている。しかしこれらにはブドウから作ったヴィネガーと言う共通点はあるが天と地ほどの差があるのはご存知でしょうか?

今回はバルサミコについて書いてみたいと思います。

バルサミコの故郷はイタリア中央エミーリア・ロマーニャ地方のモデナとレッジョに限られます。この2つの街で出来るバルサミコのみDOP「保護指定原産地呼称」が与えられています。そして一番有名なのは何といってもフェッラーリの街でもあるモデナでしょう。

モデナは紀元前183年にローマ領となり、紀元前43年にはカエサル(シーザー)を殺害したブルータスとアントニウスの戦いの場となった事で歴史に名を刻みました。その後戦争と洪水で街は壊滅状態になりましたがローマ教会の司教の統治のもとで再興され、11世紀の大聖堂完成と共に繁栄を築きます。そしてフェラーラのエステ家の支配になり1058年にはこの地方の首都となりました。モデナは歴史のある街で今でも当時の繁栄の面影を残す大聖堂や宮殿が多く残っています。

現在のモデナは、芸術、フェラーリ、残念にもこの世を去った世界のテノール歌手パヴァロッティー、そしてバルサミコ・ヴィネガーです。

バルサミコ・ヴィネガーはずいぶん長い間、このモデナ辺りの密かな宝物であったようです。最古の記録によれば、1046年エステ家の支配になる12年前、モデナの公爵カノッサ家のボニファッチョが、神聖ローマ帝国のハインリッヒ3世即位の祝いにバルサミコを樽で献上したと記されています。