エノテーカ ピンキオーリ誕生のエピソード-15-

2008年11月14日

いくつもの小さな港が存在する入り江をうねりながらゆく。赤や緑や黄色にぬられた船は大漁には向いていない。もとより誰もそんなことは考えない、のんびりと漁に出かけ生活に困らない程度で引き上げる。漁が終わればそれで美味いものを食べて昼寝をする。決して贅沢ではないけれど、母なる海を持つ美しいこの地は生まれた者の誇りだ。ここでは緑は深く海にせまり多くの鳥たちが生息する。朝はとりわけ彼らの合唱で1日が始まり、そして海鳥たちの群がる行方に魚の群れがある。穏やかな地中海は自然が猛威を振るうことはめったにない。神々から選ばれし町は世界のリゾートとなり世界中から人が集まる、でも別荘は威厳を張らずにひっそりと自然と同化している。屋根の色も壁の色も石も基準があり定めたもの以外は使用できない。選ばれしこの地は溶け込むことは許されても、壊すことは許されていないのです。

100年後も列車はきっと同じ風景を走り続けるに違いない。クルーザーがゆっくりと光を受けて港を出てゆく、まるで風に押されて動いているかのように静かである。豊かな絵である。

リグーリア州からトスカーナ州に入った、ピサでは多くの人々が乗り降りする有名なピサのシャトーがあるが今回は素通りだ、しばらく行けばトスカーナ最大の港町リボルノに到着する。ここには美味しい料理がある、あの有名な「カッチュッコ アッラ リボルネーゼ」だ、マルセイユのブイヤベースに対抗する名物料理である。まず美味しい魚のスープを作る。近海の魚を選び鯛、イトヨリ、ホウボウ、オコゼなど56種類を用意する。厚手の深鍋で粗切りにした魚をオリーブ油で炒める、ニンニクをいれソテーをした野菜と合わせる、この時ウイキョウをわすれない。魚のスープにはなくてはならない香りなのだ、白ワインを入れトマトで色を出して40分弱火で煮る。フランスの場合ここにリカールと言う酒が入る。その後魚も一緒に網で搾り出すように濾せば、濃厚なスープの出来上がりだ。このまま飲めば魚のスープ、フランスではオリーブオイルとニンニクと一味でときあげたアイヨリをクルトンにたっぷりつけて、スープに浮かせて食べる、これがたまらなく美味しい。イタリアのそれはそのまま魚の味を味わう、どちらを好むかは貴方次第。さて、カッチュッコもブイヤベースもそのスープでイセエビ、貝類、近海の魚数種を20分ほど煮込んだ料理である。マンマミーヤ!お腹がすいてきたではないか。ローマに着いたらたらふく美味いものでも食べよう。トスカーナはなだらかな丘陵地帯だ、うねるような丘が連なりココリコの花がさかりだ。野ゲシの花はかれんに咲き乱れ、真っ赤に丘を染めている。ポプラのようにまっすぐに天に伸びる木々は糸杉の木トスカーナの象徴的な木々である。南に向かってまっすぐ下がれば風景がどんどん変わる。オリーブの木が増えてきた。豊かな海から豊かな大地へと入ったのだ。リボルノから間もないところにサッシカイヤのワイナリがある。イタリアのワインを根底から変えたワイン。ボルゲリ、そしてロケッタ氏、その伝説の物語を次回検証してみよう。