エノテーカ ピンキオーリ誕生のエピソード-10-
2008年10月11日
意気揚々とパリにやって来て、厳しい現実に落胆したのは何時だったか?ずいぶんと昔のように思えるが実は5日しか経っていないことが実に不思議に思える。
冬の街角を曲がったら、春の景色になった。こんなことはありえない事なのだから、何か不思議な力の存在を信じたくなるのは当然のことかもしれない。
外観上は質素に見えるフィレンツェの街も、知れば知るほど巨大な文化の足跡が、小さな石のかけらさえも芸術作品にしてしまう。そんな錯覚に陥るのだ。
一行はビッグニュースを携え、深々と加藤氏に礼を述べ帰国の途に着いた。
11月の末にピンキオーリ夫妻は東京にやって来て、銀座の街に多いに満足していた。早速店内のインテリア設計が開始された。夫妻の考えを最大限に取り入れるため、イタリアで建築設計を経験したデザイナーが抜擢されて、いよいよエノテーカ ピンキオーリ東京の始まりである。
一方その頃私、坂間英明はバブルがはじけた不動産ディベロッパーで会員制のレストランの計画に没頭していた。六本木の120坪に池を作りピラミッドを浮かせる。広い車寄せから降りたお客様は湖上の道をピラミッドに向かう。ピラミッドは受付とエレベーターとなっており、レストランは地下に存在する。地下1階はメインダイニング、地下2階は個室、会議室とキッチンである。パリのホテルアンバサダーからすでにアンドレ・シニョレーを招聘し、高級フランス料理の準備は整った。会員権の販売は10月に開始され、翌年の10月が開店予定である。考えてみれば不動産会社のすることは派手である、アンドレ・シニョレーと契約したのは9月だから1年以上も給料を払い続けることとなった。翌年4月に来日し記者会見を開くことになっているが、それまではパリでヴァカンスだ。半年かけてじっくりとメニューを考案し、その間京都などの和食の有名店も回る予定である。個室では和食も出す予定で、当然某有名店との契約も考慮に入れている。
会員制であるが故にあらゆるニーズにも答える必要があるが、スペース的にそれ以上の料理には無理があるため、フランス料理と和食には飛び切り質にこだわる計画がされたのである。会員権価格は1500万円、年会費500万円。会議室の利用とお茶は無料、週2回2名でのランチあるいはディナーの利用まで無料。追加人数と3回目利用からは実費負担。などかなり大胆な料金設定となっている。加えて年会費で売上を確保しようなどと、ある意味利用者の意思を考えない高慢な姿勢も垣間見えるのである。
がしかし、会員権の販売は以外にも順調に伸びていったのである。




