エノテーカ ピンキオーリ誕生のエピソード-7-

2008年09月18日

私たちはあまりにもイタリアを誤解していたようだ。想えば、スパゲッティーとピザをたらふく食らう国、などと揶揄した言い方は誰から聞いたか?心に残る記憶をたどれば確か、フランス人が少し見下して言っていたのを思い出す。

パリからフィレンツェに向かったから無理もない、煌びやかなパリに比べれば実に質素に見える、しかし趣深いことにも気付く。ピアッツァ(広場)の大きさを見れば想像がつくだろう、馬車の時代、引く馬の数により方向転換に必要な大きさが割り出されたと聞く。12頭の馬がスムースに回れる広大なパリのピアッツァは権力を強調し、フィレンツェのそれは実用をあらわす。フィレンツェのすばらしさを理解するには、おそらく歴史の一つ一つをたどる必要がある。ルネサンスの輝きを今も放つ遺産の数々はダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエッロに代表され、ローマ法王とメディチ家が複雑に絡み合う光と影は、そこにフランスを巻き込んで今尚フィレンツェの天空でにらみ合っているかのようです。

「ボナ セーラ シニョール カトー」

ジョルジョ氏は強い意思を持つ眼力と、自信にあふれた笑顔で彼らを迎え、アニー夫人はふっくらとした表情から、心をさらけ出すような満面の笑みで迎えた。

「よく遠い日本からおいでいただきました。シニョール カトー、お任せいただければ今夜は美味しいものを作りましょう」

そうしてまずは、スプマンテが注がれた。

テーブルには各国から集まる資産家や成功者が、フィレンツェに見せられて毎年やってくる、尽きることのない史実を求め、その発券に新たな喜びを感じこうして、ワインのボトルに時を重ねる。

前菜は、オマール海老、鱈、帆立貝、フォアグラ、・・・

魚料理は、すずき、アンコウ、ヒメジ、手長海老、・・・

パスタは、タリオリーニ、ラビオリ、カラメッレ、パッパルデッレ、・・・

肉料理は、鳩、仔牛、子羊、牛フィレ肉、ウサギ、・・・

チーズはワゴンから選び、デザートは5種類をそれぞれ違う内容で各人にサービスされた。

初めてだった、全員が前菜からデザートまですべて違う内容のコースを食べたのである。

酔うにつれ、誰もがパリのレストランで食事をしている錯覚に陥ったのも無理はない。